技術提案書

自社の施工実績を技術提案書で効果的にアピールする方法

施工実績を「列挙」から「根拠として引用」に変える技術提案書の書き方。同種工事の定義、実績の選び方、テンプレートを解説。

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自社の施工実績を技術提案書で効果的にアピールする方法

技術提案書で施工実績を書いているのに、評価点が伸びない。 そういう声は現場で頻繁に聞かれる。

多くの場合、原因は「実績の書き方」にある。 実績を単に列挙するだけでは、評価員の目には「証拠のない自己紹介」としか映らない。 必要なのは、実績を「提案内容の根拠」として機能させる構造的な引用である。

本記事では、施工実績を技術提案書で最大限に活用するための考え方と具体的な書き方を解説する。


施工実績を技術提案書に書く目的とは?

施工実績を技術提案書に記載する目的は、提案内容の実現可能性を客観的に証明することであり、「この会社はこの提案を確実に遂行できる」と評価員に判断させることにある。

総合評価落札方式における技術評価では、大きく2つの軸で評価が行われる。

1つ目は「提案内容の優位性」、2つ目は「提案内容の実現可能性」である。

前者は工法や管理計画の技術的な質によって決まる。 後者は、過去の施工実績がどれだけ説得力をもって示されているかで決まる。

実績のない会社が「画期的な工法を採用する」と提案しても、 評価員は「本当に実行できるのか」という疑念を拭えない。 逆に、類似工事での豊富な実績を持ち、その実績と提案内容を論理的に紐付けた提案書は、 評価員に「このチームなら確実にやりきれる」という確信を与える。

国土交通省が定める総合評価落札方式のガイドラインでも、 施工実績は競争参加資格の要件であると同時に、 技術評価の加点項目としても機能する。

つまり施工実績は「入場券」と「加点源」の両方を担う、 技術提案書の中で最も費用対効果の高い要素の一つである。

技術提案書の書き方では、技術提案書全体の構成と評価基準を解説している。


「ただ列挙する」と「根拠として引用する」の決定的な違い

施工実績の「列挙」と「根拠としての引用」の違いは、実績情報が提案内容と論理的に接続されているかどうかにあり、接続がなければ評価員は実績を評価に活用することができない。

この違いを具体的な例で見てみる。

列挙型の記述(評価されにくい)

当社の主な施工実績は以下のとおりである。 ・〇〇市発注 〇〇橋補修工事(2020年完成) ・〇〇県発注 〇〇道路改良工事(2021年完成) ・〇〇国道事務所発注 〇〇トンネル補修工事(2022年完成)

この記述から評価員が読み取れるのは「工事をやったことがある」という事実だけである。 なぜその実績が今回の提案に関係するのかが見えない。 結果として、評価員は実績を加点に活用できず、スコアに反映されない。

根拠引用型の記述(評価されやすい)

本提案で採用するプレキャスト桁工法は、当社が2022年度に完成させた 〇〇国道事務所発注「〇〇橋上部工事」(契約金額1億2,000万円、桁延長120m)において 実施した工法と同一である。 当該工事では工程短縮15日・工事成績評定点85点を達成しており、 本工事においても同等以上の成果が見込まれる根拠となっている。

この記述は「過去実績 → 提案内容 → 期待効果」という三段構造になっている。 評価員は「この実績があるから、この提案は信頼できる」と判断できる。

2つを分ける3つの要素

根拠引用型に転換するには、以下の3要素を意識する。

| 要素 | 問い | 記述例 | |------|------|--------| | 対応関係 | 今回の提案とどう一致するか | 「同工法を採用した」「同規模の施工経験がある」 | | 定量的成果 | その工事でどんな結果を出したか | 「評定点85点」「工程短縮15日」 | | 転用可能性 | その成果がなぜ今回も期待できるか | 「同一の地盤条件・気象条件下での実績のため」 |

この3要素が揃ったとき、施工実績は「根拠」として機能する。


同種工事の定義と該当実績の選び方

同種工事とは、構造形式・規模・工法・制約条件等が当該工事と同等の工事を指し、国土交通省の定義では競争参加資格や総合評価の加点項目において、その同種性の高さが直接評価に影響する。

国交省による同種工事の定義

国土技術政策総合研究所(NILIM)が公表した資料によれば、 同種工事の設定には以下の要素が基準として用いられる。

  • 構造形式:橋梁であれば「桁橋」「アーチ橋」「斜張橋」等の区別
  • 規模:延長・面積・高さ・契約金額の下限値設定
  • 工法:採用した施工工法の一致度
  • 制約条件:交通規制下・近接施工・急傾斜地等の条件

これらの条件が一致または類似しているほど「同種性が高い」と評価される。 入札公告や競争参加資格確認申請書では、 発注者が具体的な条件(例:「RC橋梁工事、橋長50m以上」)を設定していることが多い。

「同種工事」と「類似工事」の違い

技術提案書では「同種工事」と「類似工事」を区別して扱う必要がある。

| 区分 | 定義の目安 | 評価上の扱い | |------|-----------|-------------| | 同種工事 | 構造形式・工種がほぼ一致 | 競争参加資格の要件、加点評価の主対象 | | 類似工事 | 工種は異なるが技術的要素が共通 | 同種実績がない場合の代替、やや低い評価 |

競争参加資格では「同種工事の実績がなければ入札に参加できない」と 定めるケースがある。 この場合、類似工事をいくら積み上げても代替にはならない。

配置予定技術者の書き方では、技術者の施工経験の記載方法も解説している。

実績を選ぶ5つの基準

技術提案書に引用する実績を選ぶ際は、以下の5基準で優先順位をつける。

① 同種性の高さ

今回の発注工事の構造形式・工法・規模と最も近い実績を最優先に選ぶ。 公告で「同種工事の定義」が明示されている場合は、 その定義に合致する実績だけを引用する。

② 工事成績評定点の高さ

国交省直轄工事では、工事成績評定点が65点以上であることが 競争参加資格の要件とされる場合がある。 評定点が高い実績(75点以上が目安)は提案書の信頼性を高める根拠になる。 工事成績評定点については別記事でも詳しく解説している。

③ 完成年度の新しさ

原則として、過去15年以内(国交省基準)の完成工事から選ぶ。 より新しい実績のほうが「現在の技術力を反映している」と評価されやすい。

④ 工事規模の近似

契約金額・延長・面積等が今回の工事と近いほうが説得力が増す。 今回の工事より大幅に小規模な実績は、 「今回の規模に対応できるか」という疑念を生む可能性がある。

⑤ 提案内容との連動

採用工法・管理手法・使用材料が今回の提案内容と一致または近接している実績を選ぶ。 実績と提案内容の接続が薄いと、記述量に対して評価効果が低くなる。



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施工実績の書き方テンプレート

施工実績の記述テンプレートは、「工事の基本情報」「提案との対応関係」「達成した定量的成果」の3ブロックで構成するのが基本であり、この構造に従うことで評価員が論理的に評価しやすい記述になる。

基本テンプレート(1件の実績記述)

【施工実績 No.〇】

■ 工事基本情報
・工事名    :〇〇橋(仮称)上部工工事
・発注者    :〇〇地方整備局〇〇国道事務所
・完成年月  :20XX年〇月
・工事規模  :橋長80m、幅員11.5m、上部工形式:PC単純桁橋
・契約金額  :1億8,000万円(税込)
・担当役割  :現場代理人兼主任技術者

■ 提案との対応関係
本提案で採用する〇〇工法は、上記工事において実施した工法と同一である。
当該工事は本工事と同様に「交通規制下での夜間施工」という制約条件を有しており、
本提案で示す施工手順・交通管理計画は、その経験に基づいて立案したものである。

■ 達成した成果
・工事成績評定点:84点(〇〇地方整備局発行の成績通知書で確認可)
・工程:当初工程比5日前倒しで完成
・品質:コンクリート圧縮強度の全検体が管理基準値以上を達成

このテンプレートに沿って記述することで、 評価員は「過去実績 → 今回の工事条件との一致 → 実現可能性の根拠」 という論理を一読で追跡できる。

記述時の注意事項

発注者名は正式名称で記載する

「〇〇市」ではなく「〇〇市建設部道路課」のように、 部署名まで記載すると実績の信頼性が高まる。 また、発注者への確認が取れた場合は 「発注者照会可」と付記することで、虚偽記載ではないという 誠実さのシグナルを発することができる。

工事成績評定点は証明可能な数値のみ記載する

評定点を記載する場合は、成績通知書の写しを添付できる状態にしておく。 記憶だけに頼った数値は後から訂正が必要になる場合があり、 失格・評価取消しのリスクがある。

誇張表現を避け、事実だけを記述する

「業界最高水準の品質管理を実現した」のような 主観的・誇張的な表現は評価員の信頼を損なう。 「〇〇試験の全検体合格」「評定点〇〇点」のような 客観的な数値・事実だけで構成する。

実績は原則として元請け工事を記載する

競争参加資格の要件では「元請けとして完成・引渡しが完了した工事」が 求められることが多い。 下請け工事は「参考実績」として別欄に記載し、 要件に該当しない可能性を明記するほうが誠実である。

複数実績を整理する一覧表の例

複数の実績を提案書の冒頭に一覧として掲載し、 その後に詳細記述を続ける構成が読みやすい。

| No. | 工事名 | 発注者 | 完成年月 | 工事規模 | 評定点 | 今回との対応 | |-----|--------|--------|---------|---------|--------|------------| | 1 | 〇〇橋上部工工事 | 〇〇国道事務所 | 20XX.3 | 橋長80m | 84点 | 工法・制約条件が一致 | | 2 | 〇〇市道路改良工事 | 〇〇市建設課 | 20XX.8 | 延長1.2km | 78点 | 地盤条件が類似 | | 3 | 〇〇橋補修工事 | 〇〇県土木事務所 | 20XX.11 | 床版面積600m² | 81点 | 補修工法が同一 |

一覧表で全体像を示した後、評価テーマと直接関係する実績(通常1〜2件)について 詳細な記述を展開する構成が、限られたページ数で最大限の情報を伝える上で有効である。


よくある質問(FAQ)

Q1. 施工実績が少ない場合、どう対処すればよいか?

同種工事の実績が少ない場合でも、いくつかの対策がある。

第一に、類似工事の実績を「同種性の根拠付き」で記述する方法がある。 「構造形式は異なるが、採用工法・地盤条件・施工制約が一致している」という 論拠を丁寧に示すことで、類似実績でも一定の評価を得られる場合がある。

第二に、配置予定技術者の個人施工経験を活用する方法がある。 企業実績が少なくても、配置技術者が前職等で豊富な同種工事経験を持つ場合は、 その経験を実績として記載できる場合がある。 ただし、発注者の要件定義(企業実績か技術者実績かの区別)を必ず確認する。

第三に、JVや下請け参加工事の経験を「参考情報」として記述する方法がある。 競争参加資格の要件には該当しないことを明記しつつ、 「施工ノウハウの保有実績」として記述することで、 評価員に技術力の存在を示せる場合がある。

Q2. 工事成績評定点が低い実績は記載すべきでないか?

国交省直轄工事では評定点65点未満の工事は競争参加資格の対象外となるため、 その実績を同種工事として記載することは避けるべきである。

一方、70点前後の実績については状況による。 ほかに高評価の実績が複数あれば、低評価のものを除外する判断が適切である。 実績の選別は、評価員に「最も有利な印象を与えるポートフォリオ」を 構成するという観点で行う。

Q3. 竣工後10年以上経過した実績は使えるか?

国交省基準では過去15年以内の完成工事が対象となる場合が多い。 発注者によっては「過去10年以内」「過去5年以内」と より厳しい条件を設定することもある。

古い実績しかない場合は、以下の2点を確認する。 ①公告・入札説明書に記載された「実績の対象期間」を確認する。 ②対象期間外の実績は、技術的な補足情報(配置技術者の経験等)で補完する。

Q4. 他社との共同企業体(JV)で施工した工事は記載できるか?

JV工事の実績は記載できるが、いくつかの注意点がある。

JVにおける自社の出資比率・担当工種・施工範囲を明記する必要がある。 発注者が「自社単独の元請け実績のみ」を条件として設定している場合は、 JV実績は対象外となる。 公告文書の要件を必ず確認した上で記載の可否を判断する。

Q5. 民間工事の実績は技術提案書に使えるか?

競争参加資格の「同種工事実績」としては、 公共工事(国・地方公共団体等の発注工事)だけを認める発注者が多い。 ただし総合評価の加点項目においては、 民間工事の実績を認める案件も一部存在する。

民間工事の実績を記載する場合は、発注者名・工事概要・竣工時期を明記し、 「民間工事」であることを括弧書きで付記することが誠実な記述である。 また、発注者への照会が可能かどうかを事前に確認しておくと、 評価員からの問い合わせに対応できる。


まとめ

施工実績を技術提案書で効果的にアピールするためのポイントを整理する。

  1. 実績の「目的」を理解する ― 実績は「入場券」であると同時に「提案内容の実現可能性を証明する根拠」でもある。この2つの機能を意識して記述する。

  2. 「列挙」から「根拠引用」に転換する ― 実績情報と提案内容を論理的に接続する。「過去実績 → 今回との一致点 → 期待される成果」の三段構造を徹底する。

  3. 同種工事の定義を公告文書で確認する ― 発注者が設定した「同種工事の定義」に合致する実績のみを競争参加資格の証明として使用する。類似工事との区別を明確に意識する。

  4. 実績を5基準で選ぶ ― 同種性・評定点・完成年度・工事規模・提案との連動の5軸で優先順位をつけ、最も説得力のある実績を選んで引用する。

  5. テンプレートで構造化する ― 「基本情報・提案との対応関係・達成成果」の3ブロック構造に従って記述することで、評価員が論理を追いやすい実績記述になる。

  6. 数値と客観的事実で語る ― 評定点・工事規模・工法名・管理値などの客観情報だけで実績を語る。主観的・誇張的な表現は評価員の信頼を損なう。

施工実績は積み上げた事実である。 しかしその事実も、正しい構造で提示されなければ評価に結びつかない。 実績の「書き方」を変えることで、同じ実績から得られる評価点は大きく変わる。

技術提案書のNG集では、実績記載時の具体的なミス事例を解説しているので参照されたい。


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