入札制度

総合評価落札方式とは?わかりやすく解説|建設工事の入札担当者向け

総合評価落札方式の基本を図解で解説。価格のみの入札との違い、評価値の計算方法、技術提案評価型と施工能力評価型の違いを解説。

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総合評価落札方式とは?わかりやすく解説|建設工事の入札担当者向け

「入札公告を見たら『総合評価落札方式』と書いてあったが、何が違うのかわからない。」 「価格だけ安くしても勝てないと聞いたが、どう対策すればよいか。」

入札業務を担当し始めたばかりの営業担当者にとって、総合評価落札方式は最初につまずきやすい制度のひとつである。 本記事では国土交通省のガイドラインをもとに、仕組み・計算方法・類型の違いを初学者でも理解できるよう体系的に解説する。


1. 総合評価落札方式とは?基本の仕組み

総合評価落札方式とは、入札者が提示する「価格」と「価格以外の技術力等」を総合的に評価し、最も高い評価値を示した者を落札者とする入札制度である。

従来の入札制度では、有効な入札のなかで最低価格を提示した者が落札者となった。 しかし「安ければ勝ち」のルールは、以下のような問題を引き起こしていた。

  • 過度な価格競争による施工品質の低下
  • 手抜き工事・不良工事の発生リスクの増大
  • 技術力の高い企業が低価格競争に巻き込まれる不公平感

こうした問題を背景に、国は2005年施行の「公共工事の品質確保の促進に関する法律(品確法)」で総合評価落札方式を位置づけた。 国土交通省は2023年3月に「国土交通省直轄工事における総合評価落札方式の運用ガイドライン」を改訂し、制度の普及と品質向上を推進している。

総合評価落札方式の基本構造

| 要素 | 内容 | |------|------| | 価格評価 | 入札価格(低いほど有利) | | 技術評価 | 施工実績・技術者の資格・技術提案の内容(高いほど有利) | | 評価値 | 価格と技術力を組み合わせて算出する総合スコア | | 落札者 | 評価値が最も高い者 |

つまり、価格が多少高くても技術評価点が高ければ落札できる仕組みになっている。 逆に、最低価格を提示しても技術評価が低ければ落札できない場合がある。

対象工事の目安

総合評価落札方式は、すべての公共工事に義務づけられているわけではない。 国土交通省の運用指針では、工事規模や技術的難易度に応じて適用する類型を選定するとされている。 一般的には予定価格が数千万円以上の工事や、技術的工夫の余地が大きい工事で採用されることが多い。


2. 価格のみの一般競争入札との違い

総合評価落札方式と価格競争のみの一般競争入札の最大の違いは、「安さだけで勝負できない」点にある。

両者の違いを表で整理する。

| 比較項目 | 一般競争入札(価格のみ) | 総合評価落札方式 | |----------|--------------------------|----------------| | 落札基準 | 最低価格(調査基準価格以上) | 価格+技術力の総合評価値が最高 | | 必要書類 | 入札書のみ | 入札書+技術資料(施工計画書・実績等) | | 価格戦略 | 低ければ低いほど有利 | 技術評価次第で高い価格でも落札可能 | | 評価期間 | 短い | 技術審査のため長い(2〜4週間程度) | | 中小企業への影響 | 体力勝負になりやすい | 技術力・実績を適切に評価される | | 活用場面 | 定型的・規格品的な工事 | 技術的工夫の余地がある工事 |

価格競争との最大の誤解

よくある誤解として「総合評価だから価格は関係ない」というものがある。 これは誤りである。

総合評価落札方式でも価格は重要な評価要素のひとつである。 価格が調査基準価格(最低制限価格に相当)を下回ると失格になる場合もある。 「価格+技術力」の両方を適切に設定することが求められる。

また、指名競争入札と一般競争入札の違いについても理解を深めることで、発注者がなぜ総合評価方式を選ぶのかがより明確になる。


3. 評価値の計算方法(加算方式・除算方式)

評価値の計算方式には「除算方式」と「加算方式」の2種類があり、発注機関によって採用方式が異なる。

除算方式(主流)

除算方式は国土交通省直轄工事を中心に広く採用されている計算方式である。

評価値 = 技術評価点 ÷ 入札価格
       =(標準点 + 加算点)÷ 入札価格

具体的な計算例

| 入札者 | 標準点 | 加算点 | 技術評価点 | 入札価格 | 評価値 | |--------|--------|--------|-----------|---------|--------| | A社 | 100 | 30 | 130 | 9,000万円 | 0.00144 | | B社 | 100 | 50 | 150 | 10,000万円 | 0.00150 | | C社 | 100 | 10 | 110 | 8,500万円 | 0.00129 |

上記の例では、最低価格はC社(8,500万円)だが、評価値が最も高いのはB社(0.00150)である。 B社が落札者となる。

除算方式のポイントは以下の通りである。

  • 価格が低いほど評価値は高くなる(分母が小さくなる)
  • 技術評価点が高いほど評価値は高くなる(分子が大きくなる)
  • 価格と技術力のバランスが評価値を左右する

加算方式(試行的採用)

加算方式は技術的難易度の高い工事で試行的に採用されている方式である。

評価値 = 価格評価点 + 技術評価点

価格評価点は「低い価格ほど高い点数」になるよう換算する。 たとえば「予定価格に対する入札率が低いほど高得点」という設定が一般的である。

除算方式と加算方式の使い分け

| 方式 | 特徴 | 主な採用場面 | |------|------|------------| | 除算方式 | 技術評価点を価格で割る。シンプルで普及度が高い | 国交省直轄工事、多くの自治体 | | 加算方式 | 技術評価点と価格評価点を足す。技術力の比重を高く設定しやすい | 高度技術提案を求める工事、試行的案件 |

標準点と加算点の仕組み

技術評価点は「標準点」と「加算点」で構成される。

標準点

  • 全入札者が共通して得られるベース点数
  • 要求要件(入札参加資格・最低限の施工条件等)を満たせば付与される
  • 多くの場合、100点に設定される

加算点

  • 企業の技術力・実績・技術提案の質に応じて付与される
  • 競合他社との差がつく部分
  • 評価項目ごとに配点が設定されており、合計点が上限となる

典型的な加算点の評価項目例を示す。

| 評価項目 | 配点の目安 | 評価内容 | |----------|-----------|---------| | 企業の施工実績 | 10〜20点 | 同種・類似工事の実績件数・規模 | | 配置予定技術者の経験 | 10〜20点 | 有資格・類似工事経験 | | 施工計画・技術提案 | 10〜50点 | 工事特有のリスクへの対策・工夫 | | 地域精通度 | 0〜10点 | 地元企業への加点・地域への貢献度 | | ICT・DX活用 | 0〜10点 | ICT施工・BIM/CIM等の活用計画 |


4. 技術提案評価型と施工能力評価型の違いとは?

総合評価落札方式は工事の技術的難易度に応じて「施工能力評価型」と「技術提案評価型」に大別され、求められる提案内容と加算点の上限が大きく異なる。

2023年3月改訂の国土交通省ガイドラインでは、この2類型を工事特性に合わせて使い分けるよう定めている。

施工能力評価型とは

技術的工夫の余地が比較的小さい工事に適用される類型である。

発注者が詳細な仕様を示したうえで、それを「確実・適切に施工できる能力があるか」を評価する。 技術提案という形で創意工夫を競わせるのではなく、過去の実績や技術者の能力を基準に評価する。

施工能力評価型の特徴

| 項目 | 内容 | |------|------| | 対象工事 | 定型的・規格化された工事、維持修繕工事等 | | 評価の中心 | 企業の施工実績・配置技術者の資格と経験 | | 加算点の上限 | 比較的低め(例:10〜30点程度) | | 提案書の難易度 | 比較的低い(施工計画書レベル) | | サブ分類 | Ⅰ型(施工計画あり)・Ⅱ型(実績・資格のみ) |

技術提案評価型とは

技術的工夫の余地が大きい工事に適用される類型である。

企業が独自の技術・工法・施工上の創意工夫を提案し、その質を競わせることで工事品質の向上を期待する。 高度な技術提案が求められるため、加算点の上限も高く設定される。

技術提案評価型の特徴

| 項目 | 内容 | |------|------| | 対象工事 | 大規模工事・難易度の高い工事・新技術が有効な工事 | | 評価の中心 | 独自技術・施工上の工夫・リスク対応策の提案 | | 加算点の上限 | 高め(例:30〜70点程度) | | 提案書の難易度 | 高い(具体的な技術的根拠が必要) | | サブ分類 | S型(高度技術提案型)・A型(標準型) |

2類型の選び方(発注者視点)

発注者が類型を選定する基準を整理すると以下の通りである。

工事の技術的難易度
  ├── 低い(仕様が明確・定型的)→ 施工能力評価型
  │       ├── 施工計画も求める → Ⅰ型
  │       └── 実績・資格のみ評価 → Ⅱ型
  │
  └── 高い(技術的工夫の余地が大きい)→ 技術提案評価型
          ├── 高度な提案を求める → S型
          └── 標準的な提案を求める → A型

入札参加の際は、まず公告文書で「施工能力評価型か技術提案評価型か」「Ⅰ型・Ⅱ型・A型・S型のどれか」を確認することが最初のステップとなる。

技術提案書の具体的な書き方については技術提案書の書き方、よくある失敗事例については技術提案書のNG集も合わせて参照されたい。


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5. 2025年度の制度改正と技術提案の加算点拡大

2025年度から国土交通省は総合評価落札方式の見直しを進めており、技術提案の加算点拡大と新評価型の試行導入が主な改正内容である。

改正の背景

国土交通省が2024年6月に建設業界団体との懇談会で示した課題認識は以下の通りである。

現行制度の課題

  • 技術提案評価型では過去に設定されたテーマの類似提案が多く、技術評価点に差がつきにくい
  • 入札価格が調査基準価格付近に集中し、価格競争が実質的に機能していない
  • 加算点の上限が低いため、高い技術力を持つ企業の優位性が出にくい

2025年度試行の主な内容

1. 加算点の上限引き上げ

従来の加算点上限(施工能力評価型:30点前後、技術提案評価型A型:70点程度)を引き上げ、技術力の差が評価値に反映されやすくする方向で試行が進む。

2. 新評価型の導入(仕様変更提案型)

発注者が設定した仕様に対し、受注者が生産性向上・コスト削減・品質改善につながる仕様変更を提案できる新たな類型を試行的に導入する。

3. ICT・DX活用の評価強化

ICT施工やBIM/CIM活用に関する加算点を増やし、建設DXの普及を促進する方針が示されている。

入札担当者が注目すべきポイント

2025年度以降の公告を確認する際は、以下の変更点に注意が必要である。

| 確認項目 | 変更前の傾向 | 変更後の傾向 | |----------|-------------|-------------| | 加算点の上限 | 比較的低め | 引き上げ傾向 | | 技術提案テーマ | 過去事例の踏襲が多い | 工事特有の新テーマが増える | | ICT・DX評価 | 加点項目として補助的 | 評価ウェイトが高まる | | 仕様変更提案 | 基本的に受け付けない | 新類型で可能になる(試行) |

加算点が拡大されれば、技術提案書の品質が落札結果に与える影響はさらに大きくなる。 自社の強みを適切に技術提案書に落とし込む力が、これまで以上に重要になると言える。

なお、経営事項審査(経審)のスコアも加算点の評価項目に影響するため、経審対策と入札戦略は一体で考えることが望ましい。


6. よくある質問(FAQ)

Q1. 総合評価落札方式に初めて参加するとき、何から準備すればよいか?

まず発注者が公告する「入札説明書」と「評価基準書」を入手し、以下の3点を確認する。

  1. 類型の確認(施工能力評価型か技術提案評価型か、さらにどのサブ型か)
  2. 評価項目と配点の確認(何点満点で、どの項目に何点配分されているか)
  3. 提出書類の確認(施工実績証明書・技術者経歴書・施工計画書等)

入札参加資格の要件確認も必須である。入札参加資格の取得方法も合わせて確認されたい。

Q2. 技術評価点が高ければ、入札価格は予定価格に近くてよいのか?

一概にはそう言えない。除算方式の場合、入札価格が高いほど評価値が下がるため、競合他社の価格設定次第では不利になる。 「技術評価点×1.3〜1.5倍の差を価格でカバーできるか」を試算したうえで価格設定することを推奨する。

Q3. 施工能力評価型で加点を狙うには何が効果的か?

施工能力評価型では以下の3点が得点に直結しやすい。

  • 同種・類似工事実績:件数・規模・発注者の格が評価される
  • 配置予定技術者の資格・経験:監理技術者・主任技術者の資格と類似工事経験年数
  • 地域精通度・地元貢献:地元自治体の工事実績・地域行事への協力実績

Q4. 技術提案の「優秀」「標準」「不可」はどう判定されるか?

発注者は公告時に評価基準を開示する。 一般的には「優秀(2点)」「標準(1点)」「不可(0点)」のような3〜5段階で評価される。 評価基準書に記載されている「標準的な対応策」を上回る具体性・数値根拠・独自工法の提示が「優秀」評価の条件となることが多い。

Q5. 落札できなかった場合、評価結果を確認する方法はあるか?

国土交通省直轄工事では、落札者決定後に「技術評価の概要」が公開される。 自社の評価点と落札者の評価点を比較することで、次回入札に向けた改善点を把握できる。 また、発注者に対して「落札理由の照会」を申し出る制度もある(発注機関ごとに対応方針が異なる)。


まとめ

総合評価落札方式の要点を整理する。

| ポイント | 内容 | |----------|------| | 基本の仕組み | 「価格」+「技術力」を総合評価して落札者を決定 | | 価格のみ入札との違い | 技術力が高ければ高価格でも落札できる | | 計算方式 | 除算方式(技術評価点÷価格)が主流。加算方式も存在 | | 類型の選択 | 工事難易度に応じて施工能力評価型・技術提案評価型を使い分け | | 2025年度改正 | 加算点拡大・新評価型試行でより技術力重視の方向へ |

価格競争から「技術競争」へという流れは今後さらに加速する見込みである。 総合評価落札方式を正しく理解し、自社の強みを適切にアピールする体制を整えることが、受注力向上の第一歩となる。

技術提案書の具体的な作成方法は技術提案書の書き方、 経審スコアの活用法は経営事項審査ガイドを参照されたい。


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