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カーボンニュートラルと建設工事|環境配慮の技術提案が加点される時代

国交省の脱炭素アクションプランを踏まえ、建設工事の総合評価でCO2削減提案が加点される仕組みと、CO2排出量計算・再生材使用率・ZEB対応技術提案書の書き方を実務レベルで解説する。

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カーボンニュートラルと建設工事|環境配慮の技術提案が加点される時代

公共工事の入札現場で、脱炭素への対応が競争力を左右する時代が到来した。

2025年4月、国土交通省は「土木工事の脱炭素アクションプラン」を公表し、直轄工事における低炭素型コンクリートと脱炭素型建機の使用を原則化する方針を示した。 2027年度以降は工事成績評定でインセンティブが設けられ、2035年以降は総合評価落札方式の入札における加点評価も検討されている。

本記事では、建設工事の脱炭素化動向から、CO2排出量の計算方法・再生材使用率の記載法・ZEB対応の技術提案書の作成手順まで、実務に直結する内容を解説する。


1. 建設工事における脱炭素化の動向

建設工事の脱炭素化とは、施工現場・建設資材・建築物の運用段階を通じてCO2排出量を削減し、2050年のカーボンニュートラル達成を目指す取り組みの総称である。

国際的な気候変動対策と国内の政策目標が重なり、建設業界への脱炭素要求は急速に高まっている。 公共調達では発注者である国や自治体が率先して脱炭素化を推進し、入札評価への組み込みが段階的に進んでいる。

国交省「土木工事の脱炭素アクションプラン」の概要

2025年4月21日に公表された「土木工事の脱炭素アクションプラン」は、建設現場のカーボンニュートラルに向けた国交省の行動計画だ。 3つのリーディング施策を柱として、2027年度から段階的に直轄工事へ適用される。

リーディング施策1:建設機械の脱炭素化

2027年から2030年度を目途に、油圧ショベルを中心とした主要建機について燃費基準達成建機の使用を原則化する。 2025年度からは電動建機(GX建設機械)やバイオ燃料を使用した建機の試験導入が開始されており、普及状況を踏まえながら対象機種を拡大する方針だ。

リーディング施策2:低炭素型コンクリートの使用原則化

高炉スラグ微粉末やフライアッシュにセメントを55%以上置換した低炭素型コンクリートについて、2027年度以降に用途・構造物の種類を指定して使用を原則化する。 2030年度以降は段階的に対象を拡大し、置換率の引き上げも検討される。

リーディング施策3:ゼロエミッション促進モデル工事

2025年度から、バイオ燃料や合成燃料を軽油の代替として使用し、現場からのCO2直接排出を削減するゼロエミッション促進モデル工事が開始された。

入札評価への組み込みスケジュール

脱炭素の取り組みが入札評価に反映されるスケジュールは以下の通りだ。

| 時期 | 制度上の変化 | |---|---| | 2025年度 | ゼロエミッション促進モデル工事の試行開始 | | 2026年度 | CO2排出量算定ツールの直轄工事本格運用開始(予定) | | 2027年度〜 | 工事成績評定・表彰制度でインセンティブ付与(予定) | | 2027〜2030年度 | 低炭素コンクリート・燃費基準達成建機の使用原則化 | | 2035年度以降 | 総合評価落札方式での加点評価を検討 |

現時点(2026年)では、総合評価落札方式での直接的な加点は試行段階にあるが、工事成績評定を通じた間接的な影響はすでに生じている。 工事成績評定の点数は次回入札における評価点に反映されるため、今から脱炭素施工の実績を積むことが競争優位に直結する。

地方自治体における先行事例

国交省より一歩先行して脱炭素施工を評価している自治体もある。

北海道では2022年度から「北海道インフラゼロカーボン試行工事」を導入した。 施工者は工事着手前にCO2削減計画書を提出し、実施内容に応じて工事完了後の工事成績評定「社会性」の項目で加点される仕組みだ。 低燃費型建機の使用・現場へのソーラーパネル設置・再生材の活用などが評価対象となっている。

このような自治体の取り組みは今後全国に広がることが見込まれるため、国交省のアクションプランへの対応を先んじて準備することが重要だ。


2. CO2排出量計算と再生材使用率の記載方法

建設工事の技術提案書においてCO2削減を示すには、使用資材・建機燃料・廃棄物処理の3分野を定量化し、排出係数を用いて算定する必要がある。

「環境に配慮して施工します」という抽象的な記載では評価されない。 具体的な数値と計算根拠が採点者に信頼性を与える。

建設工事のCO2排出量を構成する3つの要素

要素1:建設資材の製造段階排出量(Scope3上流)

コンクリート・鉄筋・アスファルト混合物などの建設資材は、製造段階で大量のCO2を排出する。 技術提案書には、使用資材の種類と数量をもとに製造段階のCO2排出量を算定して記載する。

| 資材 | CO2排出係数(参考値) | |---|---| | 普通ポルトランドセメント | 約830 kg-CO2/t | | 高炉セメントB種 | 約430 kg-CO2/t | | 高炉スラグ微粉末混和コンクリート(55%置換) | 普通比で約45〜55%削減 | | バージン砕石 | 約4〜6 kg-CO2/t | | 再生骨材 | 約2〜3 kg-CO2/t(バージン比で約50%削減) | | アスファルト混合物(バージン) | 約40〜60 kg-CO2/t | | 再生アスファルト混合物 | バージン比で約20〜30%削減 |

※上記はあくまで参考値であり、国交省・環境省の最新公表値で確認すること。

要素2:建設機械の燃料燃焼排出量(Scope1)

現場で使用する建機の軽油使用量から直接排出量を算定する。 軽油のCO2排出係数は約2.58 kg-CO2/Lが一般的な参照値だ。

計算例:

  • 油圧ショベル0.45㎥が100時間稼働、燃料消費量15 L/h と仮定
  • 消費燃料:100時間 × 15 L/h = 1,500 L
  • CO2排出量:1,500 L × 2.58 kg-CO2/L = 3,870 kg-CO2(約3.9 t-CO2)

低燃費型建機(燃費基準達成建機)や電動建機への切り替えで、この直接排出量を削減できる。

要素3:廃棄物処理段階の排出量(Scope3下流)

建設廃棄物の処理・運搬に伴うCO2排出量も考慮する。 再生材活用や現場内有効利用で発生量を抑制することが、廃棄物処理段階の排出削減につながる。

再生材使用率の記載方法

再生材使用率の記載は、グリーン購入法の特定調達品目への適合と、CO2削減効果の両面から技術提案書に記載する。

再生アスファルト混合物の記載例

「路盤工および表層工に使用するアスファルト混合物の80%以上を再生アスファルト混合物とする。調達先は○○県内の△△(社名)を予定しており、JIS A 5308の品質基準を満たす材料を使用する。バージン材比でのCO2削減量は、使用量○○tに対して約○○t-CO2と試算される(排出係数出典:国土交通省総合政策局資料)。」

再生骨材を使用したコンクリートの記載例

「基礎工事に使用するコンクリートに、再生骨材Mを粗骨材の30%以上置換することで使用する。再生骨材の使用により、粗骨材製造段階のCO2を約○○t-CO2削減できる見込みである。品質はJIS A 5023に準拠した製品を調達する。」

国交省CO2排出量算定ツールの活用

国土交通省は2026年度以降の直轄工事本格運用を見据え、工事現場のGHG排出量算定マニュアルと試行ツールを公開している。 また建築分野では2024年に建築物ライフサイクルCO2算定ツール「J-CAT」が正式公開されている。

これらの公的ツールを使用して算定したCO2排出量には、計算方法の統一性と信頼性が担保される。 技術提案書への記載時は「国交省CO2排出量算定ツール使用」と明記することで、採点者の信頼を高められる。

記載の3原則

CO2削減提案を技術提案書に記載する際は、以下の3原則を守ることが評価獲得の鍵だ。

  1. 定量化:「削減する」ではなく「○○t-CO2削減する」と数値で示す
  2. 根拠明示:排出係数の出典と計算式を記載し、数値の信頼性を担保する
  3. 実現可能性の証明:調達先・品目・規格番号をセットで記載し、計画の具体性を示す

3. ZEB対応の技術提案書の書き方

ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)対応とは、建築物のエネルギー消費量の大幅な削減と再生可能エネルギーの導入を組み合わせ、年間の一次エネルギー消費量を実質ゼロ以下にする建築物の提案のことである。

官庁施設の建設・改修工事では、ZEB化は技術提案の重要な加点要素として位置づけられている。

官庁施設のZEB化基準

国土交通省は2022年に「官庁施設の環境保全性基準」を改定し、新築する官庁施設は原則としてZEB Oriented相当以上とすることを義務化した。 ZEBの達成水準によって加点評価の重み付けが異なるため、まず各水準の定義を理解することが重要だ。

| 分類 | 省エネ水準 | 対象規模 | |---|---|---| | ZEB(ネット・ゼロ) | 一次エネルギー消費量ゼロ以下 | 全規模 | | Nearly ZEB | 75%以上の省エネ+創エネ | 全規模 | | ZEB Ready | 50%以上の省エネ | 全規模 | | ZEB Oriented | 30〜40%以上の省エネ+未評価技術導入 | 延床1万㎡以上 |

官庁施設の設計・施工を受注する場合、建物規模に応じた達成水準が要求される。 技術提案書では、その水準をどのような技術で実現するかを具体的に示す必要がある。

ZEB達成のための主要技術と提案方法

技術提案書に記載するZEB対応技術は、省エネ技術(パッシブ・アクティブ)と創エネ技術に分類される。

省エネ技術(パッシブ)

高断熱・高気密の外皮性能向上は、建物の熱負荷そのものを削減する基本技術だ。 技術提案書には、断熱材の種類・仕様・熱貫流率(U値)を数値で記載する。

記載例:

「外壁に高性能グラスウール(105K)を100mm施工し、熱貫流率をU値0.35 W/(㎡・K)以下とする。これにより空調負荷を基準値比で約15%削減できる見込みである。」

日射遮蔽・自然換気の活用も省エネに有効な提案要素だ。 庇(ひさし)・ルーバー・日射遮蔽ガラスの仕様をBELS評価の基準に照らして記載する。

省エネ技術(アクティブ)

設備機器の高効率化は、ZEB達成において最も効果が大きい要素の一つだ。

| 設備種別 | 提案内容の例 | |---|---| | 空調設備 | 高効率ヒートポンプ(COP○以上)・外気量CO2制御・VAV方式 | | 照明設備 | LED化・人感センサー・昼光制御(照度センサー連動) | | 換気設備 | 全熱交換器(熱交換率80%以上)・CO2濃度による外気量制御 | | 給湯設備 | ヒートポンプ給湯機・太陽熱利用給湯システム | | 電力管理 | BEMS(Building Energy Management System)の導入 |

技術提案書では各設備の省エネ効果を数値(%削減、削減量kWh/年)で記載し、合計でZEB相当の省エネ達成を示す構成にする。

創エネ技術

太陽光発電は官庁施設のZEB化において最も普及している創エネ技術だ。 屋根・外壁・駐車場への設置計画と、年間発電量の試算を技術提案書に記載する。

記載例:

「屋上に太陽光発電設備(出力○kW)を設置し、年間発電量○,○○○ kWh(自家消費分)を見込む。これにより建物の一次エネルギー消費量を○%相殺できる。設置面積○㎡、パネル変換効率○%の製品を採用する。」

ZEB技術提案書の構成と記載順序

ZEB対応を技術提案書に盛り込む際の推奨構成を示す。

  1. ZEB達成目標の明示:「本提案はZEB Ready相当の達成を目標とし、一次エネルギー消費量の50%削減を目指す」という宣言
  2. 省エネ計算の根拠:BEI(Building Energy Index)の算定根拠と対策別削減率の一覧表
  3. 主要採用技術の説明:上位3〜4技術について設備仕様・期待効果・採用根拠を記載
  4. 創エネ計画:太陽光発電の設置計画・年間発電量試算・余剰電力の扱い
  5. BELS・ZEB認証の取得計画:認証取得のスケジュールと申請予定機関
  6. 運用段階の維持管理計画:BEMSによるエネルギー監視・定期点検の計画

採点者が「この提案ならZEB達成が確実だ」と判断できる論理的な流れを意識して記載する。

ZEB提案で加点されるポイント

BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)によるZEB認定を取得した建物の設計・施工実績を持つ企業は、それを技術提案書に明記することで信頼性が大幅に向上する。 「ZEB認定取得○件、延床面積合計○万㎡」という形式で実績を定量的に示す。

また、ZEB Orientedの要件となる「未評価技術」(CO2濃度による外気量制御・自然換気システム等)を提案に含めることで、より高い評価水準への対応をアピールできる。


4. 入札支援AIで脱炭素提案を効率化する

脱炭素・カーボンニュートラルへの対応は、今後の公共工事受注において必須要件となっていく。 しかし、CO2排出量の算定・低炭素型コンクリートの仕様選定・ZEB達成計画の立案を毎回ゼロから行うのは、入札担当者にとって大きな負担だ。

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  • 低炭素型コンクリート・再生材の仕様提案と削減量の定量計算
  • ZEB達成技術の組み合わせ提案と省エネ計算の自動化
  • 国交省アクションプラン・グリーン購入法対応の最新チェックリスト
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脱炭素対応の入札準備を後回しにしていると、2027年度以降の工事成績評定で差がつき始める。 今から実績を積み上げておくことが、中長期的な競争力を維持する鍵となる。


5. 国交省の脱炭素アクションプランと評価制度

国交省の脱炭素アクションプランは、建設現場のカーボンニュートラルを2050年までに達成するための工程表であり、発注者・施工者・資材メーカーの三者が連携して取り組む枠組みを定めている。

アクションプランの全体像

「土木工事の脱炭素アクションプラン」(2025年4月公表)の3本柱は、先述の建機脱炭素化・低炭素コンクリート原則化・ゼロエミッション促進モデル工事だが、評価制度の観点からはさらに重要な施策がある。

CO2排出量算定の義務化と見える化

国交省は2026年度以降、直轄工事における施工現場のCO2排出量算定を本格運用する。 施工者は工事完了後にCO2排出量を算定・報告することが求められる予定だ。 算定には国総研が開発したGHG排出量算定マニュアルと試行ツールを使用する。

この「見える化」が進むことで、脱炭素施工を実践している企業とそうでない企業の差が数値として明らかになる。 この実績差が、2027年度以降の工事成績評定インセンティブに直結する。

建築物ライフサイクルカーボンの算定義務化

建築分野では2025年に、建築物の建設から解体までのCO2排出量(ライフサイクルカーボン)の算定義務化に向けた検討が進んでいる。 2028年度以降、国が発注する建築物の設計時にJ-CAT(建築物ホールライフカーボン算定ツール)を用いたCO2算定が求められる見通しだ。

設計段階でのCO2最小化提案が、技術提案書の重要な評価要素になることが確実視されている。

工事成績評定への組み込み方

工事成績評定は「施工体制」「施工状況」「出来形」「品質」「出来ばえ」「社会性等」の6項目で評価される。 脱炭素施工の実績は主に「社会性等」の項目に反映される。

2027年度以降は、国交省が定める評価基準に脱炭素関連の加点項目が追加される予定だ。 具体的には以下の要素が評価対象になると見込まれる。

  • CO2排出量算定の実施と報告
  • 低炭素型コンクリート・燃費基準達成建機の使用
  • 再生可能エネルギーの現場への導入
  • 建設廃棄物の再資源化率の達成水準
  • ゼロエミッション促進モデル工事への参加実績

総合評価落札方式への将来的な加点

2035年以降に検討されている総合評価落札方式への加点評価は、現時点では詳細が決まっていない。 しかし、現在の試行段階から本格導入に向けて、以下のような形での加点が想定される。

| 評価軸 | 想定される加点内容 | |---|---| | 企業の脱炭素実績 | 過去工事でのCO2削減実績(t-CO2の累計削減量) | | 保有建機の環境性能 | 燃費基準達成建機・電動建機の保有比率 | | 使用資材の低炭素化 | 低炭素型コンクリート・再生材の使用率の実績 | | 脱炭素計画の提案 | 当該工事でのCO2削減計画と達成目標の明示 | | 第三者認証の取得 | SBT認定・グリーンボンド取得など企業レベルの認証 |

将来の評価基準を見据えて、今から計測・記録・報告の体制を整備しておくことが重要だ。

グリーンインフラとの連携

脱炭素アクションプランは単独の施策ではなく、国交省が進めるグリーンインフラ政策とも連動している。 自然が持つCO2吸収能力を活用する緑化技術・保水技術・生態系保全との組み合わせが、今後の技術提案で評価される可能性がある。

2025年度の入札制度改正でも、環境配慮提案の評価ウェイト引き上げが明記されている。 制度改正の動向を継続的に把握することが、入札担当者にとって不可欠な業務だ。


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6. FAQ

Q1. カーボンニュートラル対応は現時点(2026年)の入札でも評価されるか?

A. 総合評価落札方式での本格的な加点評価は2035年以降が検討段階だが、工事成績評定を通じた間接的な影響はすでに生じている。 一部の自治体では独自にCO2削減施工への加点を導入しており、国交省も2027年度以降の工事成績評定インセンティブを予告している。 今から脱炭素施工の実績を記録・蓄積することが、制度導入後の評価点向上に直結する。

Q2. 低炭素型コンクリートはどの工事から使い始めればよいか?

A. 2025〜2026年度は試行段階のため、特記仕様書に「低炭素型コンクリートの使用」が明記された工事から積極的に取り組むのが現実的だ。 技術的には高炉セメントB種(スラグ置換率40〜70%)やフライアッシュセメント(混合率10〜30%)が汎用性が高く、既存の品質管理体制で対応しやすい。 調達先との事前折衝と品質試験計画を立てておくことを推奨する。

Q3. 電動建機はどこで入手できるか?コストは割高になるか?

A. 国内主要建機メーカー(コマツ・日立建機・ヤンマー等)が電動油圧ショベルの販売・レンタルを開始している。 2025年時点では燃料式と比較してリース・レンタルコストが高い場合があるが、国交省は脱炭素型建機の普及促進のため価格差の縮小を目指している。 また、GX建設機械(電動・水素・バイオ燃料対応)については、国交省の認定制度を活用して技術提案書にアピールできる点もコスト以上のメリットとなりうる。

Q4. ZEB対応の技術提案を行うには、設計段階の参画が必要か?

A. 施工一括型(設計施工一体)の発注であればZEB達成計画を技術提案書に含められるが、設計と施工が分離発注の場合は施工者の提案範囲が限られる。 分離発注の場合でも、ZEB対応仕様に合致した施工品質の確保・使用設備の同等品管理・BEMS導入の施工精度向上を提案することで評価を得られる。 VE提案の枠組みで省エネ設備の仕様向上を提案する方法も有効だ。

Q5. SBT認定は入札評価に直接影響するか?

A. 現時点(2026年)では国交省直轄工事の入札評価基準にSBT認定の加点項目は設けられていない。 ただし、一部の大手民間発注者や金融機関との取引では評価される場合がある。 将来的な総合評価加点として検討されている「第三者認証」の有力候補の一つであるため、長期的な競争力強化の観点から取得を検討する価値はある。


まとめ

建設工事のカーボンニュートラル対応は、「将来の話」から「今すぐ準備が必要な実務課題」に変わっている。

本記事の要点を整理する。

  1. 国交省アクションプランの熟知が前提:2027年度からの工事成績評定インセンティブ・低炭素コンクリート原則化の内容を把握し、自社の対応ロードマップを策定する
  2. CO2排出量の定量算定が競争力の核:資材製造・建機燃料・廃棄物処理の3要素を算定し、提案書に数値と根拠を記載する習慣を今から身につける
  3. 再生材使用率は具体的な品名・仕様・調達先を記載:「再生材を使用する」という抽象表現を廃止し、品目・規格・量・削減量の4点セットで記載する
  4. ZEB対応は官庁建築工事の必須要件:ZEB Oriented相当以上が新築官庁施設の標準となっており、省エネ技術と創エネ技術の組み合わせ提案能力が求められる
  5. 実績の記録・蓄積を今から始める:2027年度以降の評価制度に備え、工事ごとのCO2削減実績を記録・管理する体制を整備する
  6. 制度改正の動向を継続的に把握する:入札制度は毎年改正されるため、国交省の最新通達・試行要領を定期確認することが不可欠だ

脱炭素対応の技術提案は、短期的な加点獲得だけでなく、建設業界が2050年カーボンニュートラル達成に向けて不可避の変革に対応する長期投資でもある。

準備が早いほど、制度本格化後の競争で優位に立てる。


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メタ情報

  • 記事番号:111
  • 公開日:2026-03-18
  • 対象ペルソナ:P1(建設会社の入札担当者・積算担当者)
  • 主要キーワード:カーボンニュートラル 建設、環境配慮 入札 加点
  • 文字数目安:約5,800字
  • 最終更新:2026-03-18
  • 情報源:国土交通省「土木工事の脱炭素アクションプラン」(2025年4月21日)、国総研GHG排出量算定マニュアル、国交省官庁営繕ZEB推進資料、北海道インフラゼロカーボン試行工事実施要領

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