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段階的選抜方式とは?一次審査・二次審査の仕組みをわかりやすく解説

段階的選抜方式の定義・法的根拠・一次審査と二次審査の流れ・評価基準・適用条件を実務担当者向けに体系的に解説する。総合評価落札方式の効率化手法として知っておくべき全知識。

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段階的選抜方式とは?一次審査・二次審査の仕組みをわかりやすく解説

「総合評価落札方式で技術提案を求めたいが、参加者が多すぎて審査が回らない。」 「段階的選抜方式という言葉を見かけるが、通常の総合評価と何が違うのかわからない。」 「一次審査を通過するには何が評価されるのか把握しておきたい。」

公共工事の調達実務では、こうした課題に直面する場面が少なくない。 本記事では、品確法に根拠を持つ段階的選抜方式の定義・仕組み・評価基準・実務上の注意点を体系的に解説する。


1. 段階的選抜方式とは?

段階的選抜方式とは、企業の実績等や簡易な技術提案に基づく絞り込み(一次審査)を行った後、詳細な技術提案の提出やヒアリングを求めて契約の相手方を決定(二次審査)する入札方式である。

「総合評価落札方式」の一形態として位置づけられており、競争参加者が多数見込まれる工事において受発注者双方の事務負担を軽減しながら、適正な審査を確保することを目的に導入された。

通常の総合評価落札方式では、応募した全社に対して一度に詳細な技術提案書の提出を求める。 参加者が10者程度であれば管理可能だが、30者を超えるような工事では発注者の審査負担が膨大になり、受注者側も採算の合わない提案作業を強いられることになる。

段階的選抜方式はこの問題を解決するために、選抜プロセスを「二段階」に分けた仕組みである。


2. 法的根拠:品確法第16条

段階的選抜方式は「公共工事の品質確保の促進に関する法律(品確法)」第16条に規定されており、発注者が活用できる入札契約方式のひとつとして法的に明確化されている。

品確法は2005年に施行され、その後数回にわたる改正を経て現在の形に至っている。 2014年の改正では、受発注者双方の事務負担軽減と公共工事の品質確保の両立を目的とした条文整備が行われ、段階的選抜方式がより明確に位置づけられた。

国土交通省はこの法的根拠に基づき、「国土交通省直轄工事における総合評価落札方式の運用ガイドライン(2023年3月改訂)」において段階的選抜方式の具体的な活用方針を示している。

品確法における位置づけ

品確法第16条は、発注者が競争参加者数が多くなると見込まれる工事において、技術的能力に関する事項を評価することで一定の技術水準に達した者を選抜する仕組みを認めるものである。 この規定により、段階的選抜方式は「一般競争入札の中の総合評価落札方式の過程」として実施できると整理されている。

国土交通省は財務省との協議を経て、段階的選抜方式を公募型指名競争ではなく一般競争として実施できるとの結論を得ており、現在は一般競争の枠組みで運用されている。


3. 段階的選抜方式の全体フロー

段階的選抜方式は大きく「一次審査(絞り込み)」と「二次審査(詳細評価・落札者決定)」の二段階で構成される。

入札公告・競争参加資格申請受付
        ↓
   【一次審査(絞り込み)】
  企業実績・施工成績等による評価
  →上位N社に絞り込み(例:10〜15社)
        ↓
 一次審査通過者への通知(参加資格認定)
        ↓
   【二次審査(詳細評価)】
  詳細技術提案書の提出要求
  ヒアリングの実施(必要に応じて)
        ↓
  技術評価点+入札価格による総合評価
        ↓
        落札者決定

この二段階の構造により、詳細技術提案を作成・審査するのは一次審査を通過した限られた参加者のみとなる。 発注者は審査対象を絞り込んだ後に精密な評価に注力でき、受注者は通過見込みの薄い段階から過大な作業コストをかけずに済む。


4. 一次審査の仕組みと評価項目

一次審査とは、競争参加者の企業実績・工事成績・技術者の保有資格等を客観的な資料に基づいて評価し、二次審査(詳細技術提案評価)に進む参加者を絞り込む段階である。

国土交通省のガイドラインによれば、一次審査で用いる評価項目は以下のように整理される。

一次審査の主な評価項目

| 評価区分 | 具体的な内容 | 特徴 | |---|---|---| | 同種工事の施工実績 | 過去一定期間内の同種・類似工事の施工経験 | 工事規模・工種を条件とすることが多い | | 工事成績評定点 | 国土交通省・地方整備局発注工事の評定平均値 | 65点以上などの足切り基準を設ける場合あり | | 配置予定技術者の資格 | 主任技術者・監理技術者の保有資格と実績 | 技術士・1級施工管理技士等の等級を確認 | | 企業の安全管理実績 | 重大事故の有無・安全表彰等 | マイナス評価(減点)に用いる場合が多い | | 地域要件 | 本社・営業所の所在地(地域企業優遇) | 発注機関の方針による | | 社会的責任の取り組み | ワーク・ライフ・バランス認定等 | 加点項目として活用される事例が増加 |

一次審査の基準は、入札公告・競争参加資格確認申請の段階で事前に明示される。 恣意的な絞り込みを防ぐため、案件ごとに評価基準と選抜人数(例:上位10社・上位15社)があらかじめ公表される仕組みになっている。

一次審査の絞り込み人数

国土交通省のガイドラインでは、一次審査後に二次審査へ進む参加者数の目安として、おおむね10者〜15者程度に絞り込むことが示されている。 競争参加者が30者を超えるような工事では、段階的選抜方式の活用が「望ましい」とされており、二次審査の審査精度を高めるための合理的な前提条件となっている。

一次審査は「足切り」ではない

一次審査の目的は単純な脱落者の排除(足切り)ではなく、技術力の高い競争参加者に絞り込んだうえで、二次審査で充実した比較評価を行うことにある。 したがって、一次審査の通過は最低限の要件ではなく、相対的に評価の高い上位グループに入ることを意味する。


5. 二次審査の仕組みと評価プロセス

二次審査とは、一次審査を通過した参加者から詳細な技術提案書の提出を求め、必要に応じてヒアリングを実施したうえで、技術評価点と入札価格を総合的に評価して落札者を決定する段階である。

二次審査の主な評価項目

| 評価区分 | 具体的な内容 | |---|---| | 技術提案の内容・優位性 | 施工上の課題に対する独自の解決策・技術的工夫 | | 施工計画の妥当性 | 工程管理・品質管理・安全対策の具体性と実現可能性 | | 環境への配慮 | 騒音・振動・排水等の対策内容 | | 社会的課題への対応 | 地域住民への配慮・交通規制計画等 | | 入札価格 | 予定価格以下の範囲内での競争 |

二次審査では一般的に「評価値=技術評価点÷入札価格」の計算式が用いられ、評価値が最も高い参加者が落札者となる。 価格が多少高くても技術評価点が優れていれば逆転落札が生じる点は、通常の総合評価落札方式と同様である。

ヒアリングの位置づけ

技術提案の内容確認や提案の実現可能性を判断するため、発注者がヒアリングを実施する場合がある。 ヒアリングは評価得点に直接影響することがあるため、提案内容を正確に説明できる技術担当者が出席することが求められる。


6. 通常の総合評価落札方式との違い

段階的選抜方式と通常の総合評価落札方式の主な相違点を整理する。

| 比較項目 | 通常の総合評価落札方式 | 段階的選抜方式 | |---|---|---| | 審査の段階 | 一段階(全参加者に技術提案を求める) | 二段階(一次絞り込み→二次詳細評価) | | 技術提案の提出タイミング | 入札参加時に全員が提出 | 一次審査通過者のみが提出 | | 参加者側の負担 | 一次審査落ちでも詳細提案を作成済み | 一次審査落ちなら詳細提案は不要 | | 発注者の審査負担 | 全参加者分を審査 | 絞り込み後の少数を精密審査 | | 主な適用場面 | 参加者が比較的少ない工事 | 参加者が多くなると見込まれる工事 | | 評価の透明性確保 | 全参加者に同一基準を適用 | 一次審査基準を事前明示して透明性確保 |

段階的選抜方式は「より多くの企業が参加しやすい一般競争入札」の枠組みを維持しながら、「詳細な技術評価の精度を確保する」という二つの目標を両立させるために設計されている。


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7. 適用される工事の条件と目安

段階的選抜方式は、技術提案を求める競争参加者数が比較的多くなることが見込まれる工事において活用することが望ましいとされている。

国土交通省のガイドラインでは、次のような工事への適用が念頭に置かれている。

適用が想定される工事の特徴

  • 公告条件が比較的広く、多数の企業が参加資格を満たすと予想される工事
  • 技術提案型(S型・T型)の総合評価落札方式が採用される規模・難易度の工事
  • 参加者が30者を超える可能性がある国土交通省直轄工事・地方整備局工事
  • 技術的工夫の余地が大きく、詳細な提案内容の比較評価が有意義な工事

反対に、競争参加者が10者未満程度に収まると見込まれる工事では、一段階の総合評価落札方式で対応するほうが手続きの簡素化につながる場合が多い。

地方公共団体での活用

国土交通省直轄工事で先行して活用が進んできた段階的選抜方式だが、品確法の規定は地方公共団体にも適用されることから、都道府県や政令市の大型工事でも採用事例が増えている。 地方公共団体が採用する際は、各団体の総合評価落札方式運用ガイドラインに段階的選抜方式に関する規定を追加したうえで実施するのが一般的な手順である。


8. 受注者として一次審査を通過するための実務ポイント

一次審査は事前に明示された客観的な基準で評価されるため、計画的な準備が有効に機能する。

ポイント1:工事成績評定点を継続的に高める

一次審査では過去の工事成績評定点(国土交通省系の工事では平均値)が評価対象となることが多い。 日常の施工管理・工事監督との連携・出来形管理・安全管理の徹底によって評定点を積み上げることが、長期的に一次審査通過率を高める最も基本的な取り組みとなる。

ポイント2:同種工事実績の登録と更新

一次審査で参照される同種工事実績は、経営事項審査(経審)や競争参加資格申請の際に登録した情報に基づくことが多い。 実績情報の誤記・漏れ・更新遅れは評価点の損失に直結するため、工事完了後速やかに登録内容を確認・更新する習慣が重要である。

ポイント3:配置予定技術者の資格・実績を整備する

技術者の保有資格(技術士・1級土木施工管理技士等)および同種工事の施工経験は、一次審査における技術者評価に直接影響する。 保有資格の取得促進と、配置予定技術者の実績記録の整備を組織的に行うことが求められる。

ポイント4:入札公告の一次審査基準を事前確認する

発注機関によって一次審査で用いる評価項目・重み・選抜人数が異なる。 入札公告が出た段階で一次審査の基準を精査し、自社の評価水準を大まかに把握してから参加判断を行うことが実務上は不可欠である。


9. 発注者として段階的選抜方式を導入する際の留意点

発注者側から段階的選抜方式を適用する場合には、制度設計と運用上のポイントを押さえておく必要がある。

一次審査基準の事前明示

一次審査で用いる評価項目・配点・選抜人数は、入札公告の段階で明確に示す義務がある。 基準が不明確なまま審査を進めると、透明性・公平性への疑義が生じ、抗議や訴訟リスクにつながる。

選抜人数の設定

二次審査で適切な競争性を確保するためには、一次審査後の選抜人数を過度に絞り込みすぎないことが重要である。 国土交通省のガイドラインが示すとおり、10者〜15者程度を目安にするケースが多いが、工事の性格・地域の競争環境によって柔軟に設定する必要がある。

手続き期間の確保

二段階の審査プロセスを経るため、通常の総合評価落札方式よりも手続き全体の期間は長くなる。 工事発注スケジュールに余裕を持たせ、審査期間中の担当者の事務負担も考慮した計画が不可欠である。


10. 段階的選抜方式と関連する入札制度

段階的選抜方式を理解するうえで、関連する入札制度を整理しておくと全体像を把握しやすい。

総合評価落札方式との関係

段階的選抜方式は総合評価落札方式の「一形態」である。 両者の差異は「技術提案の収集・審査を何段階で行うか」という点にあり、段階的選抜方式は総合評価落札方式の枠組みを保ちながら大人数対応の効率化を実現している。

技術提案書の書き方との関係

二次審査で求められる詳細な技術提案書は、審査員に訴求力のある内容で仕上げることが落札に直結する。 段階的選抜方式では一次審査を通過した企業同士での競争になるため、二次審査での技術提案の質がより一層重要になる。

国交省直轄工事入札との関係

段階的選抜方式は国土交通省直轄工事で先行して活用が進んでいる。 国交省直轄工事の入札参加を目指す企業にとっては、段階的選抜方式への対応が避けられない実務課題となっている。


まとめ

段階的選抜方式のポイントを以下に整理する。

  • 定義:企業実績等による一次審査(絞り込み)→詳細技術提案による二次審査(落札者決定)の二段階で行う総合評価落札方式
  • 法的根拠:公共工事の品質確保の促進に関する法律(品確法)第16条
  • 目的:競争参加者が多い工事における発注者・受注者双方の事務負担軽減と審査精度の確保
  • 一次審査の評価項目:同種工事実績・工事成績評定点・配置予定技術者の資格・地域要件等を客観的基準で評価
  • 二次審査の評価:詳細技術提案+入札価格による総合評価値で落札者を決定
  • 適用場面:競争参加者が30者を超えるような大型・難易度の高い工事

段階的選抜方式は発注者・受注者双方の効率化を目的とした合理的な制度である。 受注者として参加する場合は一次審査基準を事前に把握したうえで、日頃から工事成績・実績登録・技術者資格の整備を計画的に進めることが一次審査通過の確率を高める。

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  • 記事番号:#122/122
  • 公開日:2026-03-18
  • キーワード:段階的選抜方式とは
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