入札制度

プロポーザル方式とは?建設工事における企画競争入札の仕組み

プロポーザル方式(企画競争入札)の基本を解説。総合評価落札方式との違い、対象工事・提出書類・評価方法の比較、技術提案書で選ばれるための準備まで体系的に説明する。

入札業務を丸ごとAIで管理 — 入札支援AI(β期間無料)。詳細を見る →

プロポーザル方式とは?建設工事における企画競争入札の仕組み

「公告を見たら『プロポーザル方式』と書いてあったが、通常の入札と何が違うのか。」 「技術提案書を出すと聞いたが、何を書けばよいのかわからない。」

建設工事の入札業務を担当している営業担当者にとって、プロポーザル方式は最初に混乱しやすい発注形式のひとつだ。 価格だけで勝負する通常の入札とは異なり、技術力や提案の質が選定を左右する仕組みであるため、準備の方向性が大きく変わる。

本記事では国土交通省のガイドラインをもとに、プロポーザル方式の仕組み・対象工事・提出書類・評価方法を体系的に整理する。 さらに、実際に選ばれるための技術提案書の準備方法までを解説する。


1. プロポーザル方式とは?基本の仕組み

プロポーザル方式(企画競争入札)とは、発注者が業務の目的・条件を提示し、複数の受注希望者から技術提案書を徴収したうえで技術的に最も優れた提案をした者を選定し、契約交渉に移る入札形式である。

通常の競争入札では、入札価格の多寡で落札者が決まる。 これに対してプロポーザル方式では、価格の多寡ではなく「どれだけ優れた提案・実施体制・実績を示せるか」が選定の基準となる。

国土交通省は「建設コンサルタント業務等におけるプロポーザル方式及び総合評価落札方式の運用ガイドライン(令和5年3月一部改定)」において、プロポーザル方式の適用基準を以下のように定義している。

当該業務の内容が技術的に高度なもの又は専門的な技術が要求される業務であって、提出された技術提案に基づいて仕様を作成する方が最も優れた成果を期待できるもの

つまり、「仕様が最初から確定できない」「高度な専門性が求められる」業務を対象として採用される形式だ。

プロポーザル方式の基本的な流れ

プロポーザル方式は、大きく5つのステップで進む。

| ステップ | 内容 | |----------|------| | 1. 公告・参加表明 | 発注者が業務概要・参加要件を公告し、受注希望者が参加を表明する | | 2. 技術提案書の提出 | 受注希望者が実施方針・実施体制・技術提案内容をまとめた書類を提出する | | 3. ヒアリング | 発注者が提案者に対し、提案内容について質疑・ヒアリングを行う場合がある | | 4. 優先交渉権者の選定 | 審査委員会等が評価し、最も優れた提案者を「優先交渉権者」として特定する | | 5. 契約交渉・締結 | 優先交渉権者との間で業務内容・費用を協議し、合意に至れば契約を締結する |

通常の競争入札との最大の違いは「ステップ5」にある。 プロポーザル方式では落札者を決めた後に発注者と詳細な内容の協議・交渉ができる。 仕様が事前に固定されている一般競争入札と異なり、柔軟な契約内容の調整が可能だ。

公募型と指名型の2種類

プロポーザル方式には「公募型」と「指名型」がある。

公募型プロポーザルは、一般競争入札と同様に公告・告示によって参加者を広く募る形式だ。 参加要件を満たす事業者であれば原則として誰でも参加を申し込める。

**指名型プロポーザル(簡易公募型を含む)**は、発注者が事前に3〜5社程度を選定し、企画競争への参加を指名する形式だ。 競合企業が絞り込まれるため、選定に至る確率は公募型より高い傾向がある。


2. 総合評価落札方式との違い

プロポーザル方式と総合評価落札方式はどちらも「技術力」を重視する選定方式だが、価格の扱い方・仕様の確定時期・選定後の交渉可否の3点で本質的に異なる。

両者を混同しやすいのは、いずれも「技術提案書」「ヒアリング」「実施体制の評価」といった要素を持つためだ。 しかし仕組みは大きく異なるため、参加前に必ず区別して理解しておく必要がある。

プロポーザル方式 vs 総合評価落札方式:比較表

| 比較項目 | プロポーザル方式 | 総合評価落札方式 | |----------|----------------|----------------| | 選定の基準 | 技術力のみで選定(価格は審査に直接影響しない) | 価格+技術力の総合評価値で落札者を決定 | | 仕様の確定タイミング | 選定後に発注者と協議して確定する | 発注者が事前に仕様を明示したうえで入札を実施する | | 選定後の交渉 | 優先交渉権者として価格・内容を交渉できる | 落札後の内容変更は基本的に認められない | | 価格競争の有無 | 価格競争は原則として発生しない | 価格競争が評価の一軸として機能する | | 主な適用場面 | 創造性・専門技術が強く求められる業務 | 技術工夫の余地が大きい工事・業務 | | 法的根拠 | 会計法・地方自治法上の「企画競争」 | 品確法・会計法に基づく「一般競争入札の特例」 |

総合評価落札方式との最大の違いは「価格の役割」

総合評価落札方式とはでは、技術評価点を入札価格で割った評価値(除算方式)で落札者が決まる。 価格が高すぎれば、技術力が高くても落札できない構造になっている。

一方、プロポーザル方式では価格は審査対象に含まれない。 発注者はあくまで「誰が最も優れた提案・技術力を持つか」だけで優先交渉権者を決定する。 価格はその後の交渉フェーズで初めて話し合われる。

この違いは実務上、大きな意味を持つ。 プロポーザル方式に参加する際は「いかに低い価格を提示するか」ではなく「いかに質の高い技術提案書を仕上げるか」に全力を集中すべきだという判断につながる。

プロポーザル方式が採用される背景

発注者がプロポーザル方式を選ぶのは、以下のような理由による。

  • 業務内容が複雑で、仕様を事前に固定できない
  • 技術的工夫の余地が大きく、提案の質が成果物の品質を左右する
  • 価格競争ではなく、技術・提案力で最良の受注者を選びたい
  • 受注者との協議を通じて、最適な業務遂行方法を共同で設計したい

逆に言えば、プロポーザル方式で選ばれることは「価格以外の面で発注者に認められた」という証明になる。 受注後の関係構築や次回案件への信頼蓄積につながる受注形態だ。


3. 対象工事・提出書類・評価方法の比較

プロポーザル方式の対象は建設工事本体よりも設計業務・調査業務・建設コンサルタント業務が中心であり、提出書類は技術提案書を核とし、評価は実施方針・技術者・提案内容の3軸で行われる。

対象工事・業務の範囲

国土交通省のガイドラインでは、プロポーザル方式を選定する対象業務を以下のように規定している。

| 業務分野 | 具体的な対象例 | |----------|-------------| | 建設コンサルタント業務 | 道路・河川・橋梁等の調査・設計業務 | | 測量業務 | 高度な精度・特殊技術が求められる測量 | | 地質調査業務 | 特殊な地盤・地形への対応が必要な地質調査 | | 建築設計業務 | 庁舎・学校等の公共建築の設計 | | その他専門業務 | 環境影響評価・都市計画策定等 |

建設工事本体(土木・建築工事の施工)については、一般的に総合評価落札方式が用いられることが多い。 ただし、極めて高度な技術または創造性が要求される公共建築の設計施工一括発注(デザインビルド)など、工事にプロポーザル方式を採用する事例も存在する。

また、自治体が発注するIT・システム開発・業務委託などの非建設分野でもプロポーザル方式は広く利用されている。

主な提出書類

プロポーザル方式では以下の書類が求められる。 公告ごとに要求書類・様式・ページ数に上限が設定されるため、必ず公告文書を確認すること。

| 書類名 | 主な記載内容 | |--------|------------| | 参加表明書 | 参加意向の意思表示・参加者情報 | | 技術者経歴書 | 管理技術者・主任担当技術者の資格・経験年数・類似業務実績 | | 業務実施方針 | 業務の目的理解・業務フローの概要・取り組みの方向性 | | 技術提案書(評価テーマへの回答) | 発注者が設定した評価テーマに対する具体的な技術的対応策 | | 業務実績調書 | 過去の同種・類似業務の実績(発注者名・業務名・実施期間等) | | 実施体制図 | 管理技術者・担当技術者の役割分担と連携体制 |

このうち「技術提案書」が評価の最重要書類となる。 評価テーマとは、発注者が当該業務特有の課題として設定した論点であり、「この課題に対してどのような技術的アプローチをとるか」を問うものだ。 技術提案書の書き方に示す構成と記述方法を参考に、発注者の意図に沿った内容を作成することが選定への近道となる。

評価方法の構造

プロポーザル方式における評価は、複数の評価項目に配点を設定した採点シートに基づいて行われる。 評価項目の典型的な構成と配点の目安を以下に示す。

| 評価項目 | 配点の目安 | 評価のポイント | |----------|-----------|--------------| | 業務実施方針 | 10〜20点 | 業務目的の理解度・実施フローの適切さ | | 技術提案(評価テーマ) | 30〜60点 | 課題認識の深さ・提案の独自性・数値的根拠 | | 管理技術者の経験・資格 | 10〜20点 | 類似業務経験年数・保有資格の水準 | | 担当技術者の経験・資格 | 5〜15点 | 担当分野の専門性・類似業務従事経験 | | 業務実績 | 5〜15点 | 同種・類似業務の受注実績件数・規模 |

評価は通常、「優秀(S)・良好(A)・標準(B)・不可(C)」の4段階または点数制で行われる。 各評価段階に配点比率が設定されており、「標準」と「優秀」では得点差が数点〜十数点生じることもある。

ヒアリングの役割

プロポーザル方式では、書類審査の後にヒアリングが行われることが多い。 ヒアリングは提案書の内容確認・質疑応答を目的とし、審査委員が直接発注者側から質問する形式が一般的だ。

ヒアリングで評価が大きく変わるケースがある。 書類に記載した内容を論理的に説明できるか、質問に対して的確に応答できるかが問われるため、提案書の作成者が必ず出席し、内容を完全に把握したうえで臨むことが重要だ。


📝 技術提案書の作成を効率化する

過去の施工実績と公告条件をもとに、AIが技術提案書のドラフトを自動生成。

👉 入札支援AIを無料で試す


入札業務を丸ごとAIで管理

入札業務の流れを一元管理できるプラットフォーム。β期間中は全機能無料でご利用いただけます。

5. プロポーザル方式で選ばれるための準備

プロポーザル方式で優先交渉権者として選ばれるためには、評価テーマへの深い回答・管理技術者の経歴整備・同種業務実績の整理という3つの柱を事前に準備することが不可欠だ。

準備1:評価テーマの徹底的な分析

プロポーザル方式の評価の核心は、発注者が設定した「評価テーマ」への回答の質だ。 評価テーマは公告文書や技術提案書提出要請書に記載されており、「業務上の特定課題」として提示される。

評価テーマへの回答で高評価を得るには、以下の3点が求められる。

(1)課題認識の深さ 評価テーマが提起する課題を表面的に捉えるのではなく、その背景・要因・影響範囲を深く分析する。 発注者が「なぜこのテーマを設定したのか」を考えることが出発点だ。

(2)具体的・数値的な根拠 「適切に対処する」「万全な対策を講じる」といった抽象的な表現は評価されにくい。 数値・実測データ・過去の類似業務での実施事例を根拠として示すことで、提案の信頼性が高まる。

(3)独自の技術・工法・アプローチの明示 自社または自社チームだからこそ実現できる技術的優位性を明確に記述する。 NETIS登録技術・独自開発工法・専用機材の活用など、競合他社との差別化要素を提案に盛り込むことが「優秀」評価への近道だ。

準備2:管理技術者の経歴整備

プロポーザル方式では、配置予定の「管理技術者」の資格と経験が審査項目に含まれることがほとんどだ。 管理技術者として配置する技術者の経歴を事前に整備しておく必要がある。

発注者が評価する管理技術者の資質は以下の通りだ。

| 評価要素 | 具体的な内容 | |----------|------------| | 保有資格 | 技術士・RCCM・建築士等の国家資格・登録資格 | | 類似業務の経験年数 | 当該業務と同種・類似の業務への従事年数 | | 業務実績の規模 | 受注金額・業務の規模感・発注者の格 | | 管理者としての経験 | 管理技術者・照査技術者等としての従事経験 |

技術者の経歴書は定型様式に記載するが、記載内容の具体性が評価に影響する。 業務名・発注者名・実施期間・担当内容を正確かつ詳細に記録・管理しておくことが重要だ。

なお、入札参加資格の取得に関連して、経営事項審査(経審)の技術者点も間接的に影響するため、自社の技術者資格・経験の整備と経審対策は一体で進めることが望ましい。

準備3:同種・類似業務実績の体系的整理

業務実績は評価テーマへの回答の根拠としても、実績評価項目への回答としても使われる二重の重要性を持つ。

特に以下の実績情報を整理・管理しておくことが有効だ。

  • 業務の正式名称・発注機関・契約金額・履行期間
  • 業務の技術的特徴・難易度・特殊条件の内容
  • 担当技術者の役割(管理技術者か主任担当技術者か)
  • 発注者からの評価・特記事項(工事成績評定点等)

実績の整理は「同種業務」と「類似業務」に分けて管理するとよい。 プロポーザルの評価基準書には「同種業務」か「類似業務」かによって配点が異なる場合があるため、自社の実績がどちらに該当するかを事前に判断できる状態にしておく。

準備4:提案書の「見せ方」の工夫

内容が優れていても、読みにくい提案書は評価者に伝わらない。 審査委員は複数の提案書を限られた時間で審査するため、視認性と構成のわかりやすさも重要な要素だ。

以下の点を意識して作成することを推奨する。

  • 見出し・小見出しで構造を明確にする
  • 図表・フローチャートを活用して視覚的にわかりやすく示す
  • 「課題→分析→対策→効果」の論理構成を守る
  • 結論・提案の核心を冒頭または各段落の先頭に置く(結論先出し)
  • ページ数上限を遵守し、重要でない記述を削る

技術提案書の具体的な構成と記述例については、技術提案書の書き方を参照されたい。


6. よくある質問(FAQ)

Q1. プロポーザル方式と一般競争入札(最低価格落札)は同時に公告されることがあるか?

同じ発注機関が同時に別々の案件で異なる方式を採用することはある。 ただし、同一の案件に対してプロポーザル方式と最低価格落札の一般競争入札が並行して実施されることはない。 発注者は案件の特性に応じていずれかの方式を選択する。

Q2. プロポーザル方式に参加したが優先交渉権者になれなかった場合、次点になれるか?

発注者が優先交渉権者との協議で合意に至らなかった場合(価格交渉決裂等)、次点者と交渉に移行する制度がある発注機関も存在する。 ただしこれは例外的なケースであり、一般的には優先交渉権者との契約が成立することがほとんどだ。 評価結果の開示を請求し、次回への改善につなげることが実務上の重要な対応となる。

Q3. 実績がない分野でプロポーザル方式に参加することは可能か?

参加要件に「同種・類似業務の実績○件以上」が定められている場合は、実績なしでは参加要件を満たせない。 一方、実績要件が設定されていない公告もある。 実績が少ない段階では、「類似性の高い業務実績」「業務対象地域に精通した技術者の参加」「独自技術の保有」などで差別化を図ることが有効だ。

Q4. プロポーザル方式における「評価テーマ」は公告前に予測できるか?

完全な予測は困難だが、発注機関の過去の公告・業務内容・地域課題・最新の技術動向を分析することで、テーマの方向性をある程度推測できる。 過去の類似業務の公告文書・報告書・技術提案内容を入手・分析しておくことが準備の基本だ。 指名競争入札と一般競争入札の違いと合わせて、発注機関ごとの傾向把握に活用されたい。

Q5. プロポーザル方式で選定された後、価格交渉で不合意になった場合はどうなるか?

優先交渉権者との価格交渉が成立しない場合、発注者は交渉を打ち切り、次点者との交渉に移行するか、再度公募を実施する。 価格交渉では積算根拠を明確に示すことが重要であり、費用の妥当性を数字で説明できる準備が必要だ。 過度な値引き要求に応じると業務品質に影響するため、最低限の業務水準を確保できる費用を主張することが望ましい。


まとめ

プロポーザル方式の要点を以下に整理する。

| ポイント | 内容 | |----------|------| | 基本の仕組み | 技術提案書の質で優先交渉権者を決定し、その後に価格交渉を行う | | 総合評価との違い | 価格は審査に含まれない。選定後に交渉が可能 | | 主な対象 | 設計・調査・建設コンサルタント業務が中心 | | 主な提出書類 | 技術提案書・管理技術者経歴書・業務実績・実施方針 | | 評価の核心 | 評価テーマへの具体的・数値的・独自性のある回答 | | 選ばれるための準備 | 評価テーマ分析・技術者経歴整備・業務実績の体系的管理 |

プロポーザル方式は「価格競争から抜け出せる」発注形式であり、技術力・提案力を磨くことで競合との差を明確につけられる。 準備の質が選定結果に直結するため、公告が出る前から技術者経歴・業務実績・提案書の品質向上に継続的に取り組むことが受注力向上の鍵となる。

関連記事:


現場改善に役立つ関連アプリ

GenbaCompassでは、入札支援AI以外にも現場のDXを支援するアプリを提供している。

| アプリ名 | 概要 | こんな課題に | |----------|------|-------------| | AnzenAI | AI安全管理支援 | 建設現場の安全教育・KY活動 | | WhyTrace | AIなぜなぜ分析 | 不具合・トラブルの根本原因分析 | | SysDoc | AIマニュアル作成 | 業務手順書・マニュアルの整備 |

<!-- META: - 記事番号: #21 - ファイル番号: 021 - slug: proposal-method-guide - pubDate: 2026-03-17 - メインKW: プロポーザル方式とは, 企画競争入札 建設 - ペルソナ: P3(営業担当者) - site: bid-support - 文字数目安: 4,000〜7,000字 - 内部リンク: 総合評価落札方式とは, 技術提案書の書き方, 入札参加資格の取得方法, 指名vs一般競争入札 - 参考: 国土交通省「建設コンサルタント業務等におけるプロポーザル方式及び総合評価落札方式の運用ガイドライン(令和5年3月一部改定)」 -->

入札業務を丸ごとAIで管理

案件検索・パイプライン管理・提案書生成・勝率分析を一気通貫で実現。

アカウント作成は30秒 ・ クレジットカード不要 ・ β期間中は全機能無料